検診でお話すること

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  • 8・9ヶ月健診
  • お誕生日おめでとうございます

2ヶ月の赤ちゃんの発達

あやし笑い:外部からの刺激に対して、お子さんは笑いの反応を示すようになります。周囲の刺激や触れられることによって、愉快な感情を表現します。

指しゃぶり:お子さんは手が顔に届くようになり、指しゃぶりを始めます。指を口に入れて舐めることで、自己の口腔を探索したり、安心感を得たりすることができます。

腹ばいで首を上げる:首の筋力が発達し、お子さんは腹ばいの状態で首を上げることができるようになります。首を支える力がついてきて、周囲の状況をより良く観察することができます。

眼でおいかけ、音の方を向く:お子さんは首を動かしながら目で物を追いかけることができるようになります。また、耳もとの音に反応し、その方向を向くようになります。音や視覚的な刺激に敏感に反応し始める時期です。

よく声も出します:お子さんは発声能力が発達し、積極的に声を出すようになります。泣く、笑う、喃語を言うなど、さまざまな音を発して自己表現を行います。声を出すことで、周囲とのコミュニケーションを図ることもあります。

母乳は分けてあげましょう

授乳に関して、一般的には3時間毎に8回と言われますが、この指標は主にミルクフィーディングに関連しています。実際には、母乳の場合は消化が早く、1時間半から2時間程度で消化されるため、赤ちゃんは比較的早い段階でおなかが空くことがあります。したがって、赤ちゃんが3時間経たずに泣く場合、母乳が足りないわけではなく、母乳が消化されてお腹が空いたためです。

授乳の間隔を長く空けると、母乳の分泌が妨げられることがあるため、適切な頻度で授乳することが重要です。通常、3ヶ月までの赤ちゃんの平均授乳回数は10〜12回程度です。もし授乳回数がこの範囲よりも少ない場合でも、1回の授乳量が多く、赤ちゃんに必要な栄養が十分に摂取されている可能性があります。

なお、月齢が進んでも母乳の授乳回数はあまり変化しませんので、これを考慮に入れて授乳を行ってください。赤ちゃんとの相互のニーズに合わせた授乳を心がけましょう。

授乳リズムは2ヶ月あたりでできてきます

赤ちゃんは生後2ヶ月頃までは、授乳のタイミングや睡眠のパターンが不規則な場合があります。夜間でも何度も目を覚まし、授乳を求めることもあります。

しかし、2ヶ月頃になると赤ちゃんの体内時計も徐々に昼型になり、夜間もより一定の睡眠リズムを取るようになります。これによって、夜間の睡眠がより深くなり、長く続くようになることがあります。

2ヶ月までの期間は、赤ちゃんとのリズム作りが重要です。赤ちゃんのニーズに合わせて授乳や睡眠のサイクルを調整し、日中の活動や夜間の安眠をサポートすることが大切です。

赤ちゃんとのリズム作りには、積極的なコミュニケーションや規則正しい生活リズムの導入が役立ちます。日中は明るい環境で活発に過ごし、夜は静かな環境を作り、寝る時間を少しずつ調整していくことが推奨されます。

赤ちゃんとのリズム作りは個人によって異なる場合もありますので、赤ちゃんのサインやニーズに敏感に対応しながら、柔軟に対応していくことが重要です。

変化していく睡眠パターン

確かに、3-4ヶ月の赤ちゃんには6-7時間連続で眠る子もいます。しかし、5-6ヶ月になると夜に何度か起きたり、8ヶ月になるとさらに頻繁に起きたりする場合もあります。これは母乳の供給が不足しているからではなく、赤ちゃんの脳の発達とお母さんとの親密なつながりの成長によるものです。赤ちゃんが成長するにつれて、彼らはより頻繁に起きるようになります。

赤ちゃんの睡眠パターンは個人差が大きく、また成長に伴って頻繁に変化します。赤ちゃんが起きる回数や寝る時間は、彼らの個々のペースに合わせて柔軟に対応する必要があります。赤ちゃんが起きている時間は、彼らが新たなことを学び、発見し、成長するための貴重な時間です。

お母さんは赤ちゃんのペースに合わせて、彼らのニーズに応えることが大切です。夜間の授乳や添い寝、励ましや安心させる方法など、赤ちゃんが安心して眠れる環境を提供しましょう。赤ちゃんとの絆を深めるためにも、親子のコミュニケーションを大切にすることが重要です。

赤ちゃんの成長に合わせて、柔軟に対応しながらお母さん自身も休息を取ることが重要です。赤ちゃんのペースに合わせながら、バランスの取れた生活を送ることが大切です。

離乳食は6ヶ月頃に始めるのが目安です

赤ちゃんが生後4-5ヶ月の時点では、母乳以外のもの、果汁や湯ざましは全く必要ありません。母乳やミルクが赤ちゃんに必要な栄養を提供し、成長と発育をサポートすることができます。

離乳食に関しては、生後4-5ヶ月の健診の際に小児科医や保健師と相談することが重要です。この時期における赤ちゃんの発育や食事の進行具合に基づいて、離乳食の開始のタイミングや方法について専門家のアドバイスを受けることが適切です。

離乳食は赤ちゃんの成長に合わせて段階的に始めるものであり、個別のアプローチが必要です。健診で専門家と相談し、赤ちゃんの成長や食事の進行具合に合わせて離乳食を導入することがおすすめです。

お母さんは赤ちゃんの健康と発育を最優先に考え、専門家のガイダンスに従いながら離乳食のスタートを計画しましょう。その際、個々の赤ちゃんの成長ペースや食欲に合わせて柔軟に対応することが重要です。

ポイント

お母さんが薬を飲む場合でも、癌の薬や麻薬、特殊な薬を除いて、ほとんどの薬は母乳にほとんど問題ありません。赤ちゃんも薬を摂取することがありますし、母乳から分泌される薬物量では赤ちゃんに異常が生じることはほとんどありません。しかし、時には医師から母乳を止めるように勧められることもあります。しかし、3日間も母乳を止めてしまうと、乳量も減少してしまいます。そのような場合は、止める前に必ずご相談ください。当院ではお母さんのお薬についても処方できますので、ご相談ください。

母乳育児は長期にわたって続けるほど、母子にとって良い効果が現れます。医学的に母乳を止める必要があるとされる時期はありません。ゆっくりと長い間、母乳育児を楽しんでください。母乳育児は赤ちゃんにとって最も良い栄養源であり、お母さんとの絆を深める貴重な経験です。

4ヶ月以降の赤ちゃんの発育や発達に関して

3ヶ月半: 首がしっかりとすわり、引き起こし反応をしても首が落ちなくなります。

4-5ヶ月: 目手口の協調反応が発達し、持ったものを見つめながら口にもってくるようになります。また、仰向けで寝た姿勢から回ったり頭の方に進んだりする動きが見られるようになります。

5ヶ月: 手を顔の上に挙げて物をつかむことができるようになります。また、寝返りも偶然に1回くらいするようになります。

6ヶ月: 喃語が徐々に出てくる時期です。単音節の「アー」「ウー」から複音節の「アムアム」という音が出るようになります。さらに、支え座りが可能になります。

以上、赤ちゃんの発達の一般的な目安となりますが、個人差がありますので、赤ちゃんの成長ペースやマイルストーンについては、定期健診や専門家のアドバイスをご参考にされることをおすすめします。

6ヶ月以降から離乳食を視野に入れましょう

5ヶ月頃から赤ちゃんは家族の食事の様子に興味を持ち始め、よだれも増えてきます。これは赤ちゃんが家族の食べている様子を楽しめるようになったからです。ただし、5ヶ月ではまだ離乳食を食べる準備が整っていないため、6ヶ月からの開始が適切です。

赤ちゃんが離乳食をあまり食べなくても焦る必要はありません。離乳食は将来的に固形食を摂るための練習であり、食べなくても栄養が不足することはありません。個々の赤ちゃんによって進み方は異なりますが、7ヶ月後半頃からより食べる量が増えることが多いです。

離乳食のカロリーは大したことはないため、食べ過ぎる心配はありません。赤ちゃんの茶碗にいっぱい食べても、50カロリーに満たない程度です。赤ちゃんが食べたいだけ食べるようにして大丈夫です。

離乳食の固さについては、赤ちゃんが食べられるように徐々に固くしていくことができます。まだ丸ごと飲むことが主なので、少し噛む動作があれば問題ありません。食材の種類についても、少しずつ増やしていくことが良いでしょう。ただし、卵などについてはアレルギーのリスクがあるため、摂取を遅らせることが推奨されることが最近の研究でわかってきています。

母乳は赤ちゃんの欲求に合わせて与え続けることができますし、授乳回数は減りません。赤ちゃんが成長するにつれて、母乳は単なる「食品」ではなく、お母さん自身の象徴となっています。母乳と離乳食を組み合わせることが最も良い方法です。

8ヶ月以降の赤ちゃんの発育や発達に関して

発達の標準:以下は一般的な目安ですが、個人差があります6ヶ月支え座りができるようになります(手を前について座る)7ヶ月手を自由に動かしながら座ることができます8ヶ月腹這いの移動ができるようになります(グルグル回ったり後ろに進む)9ヶ月腹這いで前に進むことができます(ずり這い、高這い)10ヶ月つかまり立ちができるようになります12ヶ月伝い歩きができるようになります

喃語: 自発的に喃語でむにゃむにゃと独り言を言います。

離乳食: 9ヶ月頃から3回食が目標とされていますが、あまり食べなくても焦らずに対応してください。1歳半までに3回食になることを目指しても構いません。

母乳はいつまで続けて良いのでしょうか?

母乳を継続している場合、赤ちゃんが1歳の誕生日を迎えても母乳を止める必要はありません。お母さんの希望と赤ちゃんの状況に応じて、母乳を継続することができます。母乳は赤ちゃんにとって貴重な栄養源であり、赤ちゃんの成長と発達に重要な役割を果たしますので、そのまま続けることができます。

ポイント

医学的に母乳を止める必要がある時期はありません。

一歳で止めると言われることがあるのは、言葉の習慣や社会的な期待に基づいている場合が多く、科学的な根拠はありません。赤ちゃんの気持ちや成長に合わせて母乳を続けることが大切です。

母乳はむし歯の原因にはなりません。

多くの研究で証明されています。もしむし歯が発生した場合は、治療を受けることができます。

赤ちゃんがおっぱいにすがる回数が増えてくることがあります。

赤ちゃんの脳が発達し、親子の絆が深まるにつれて、おっぱいに対する安心感や心のつながりが増してきます。夜間の授乳も、赤ちゃんにとってはお母さんの存在と安心を連想させるものです。夜間授乳を止めるように指導されることは、親子の絆を切ることと同義です。

母乳を長く続けることには、母子ともにメリットがあります。

  1. お母さんは乳がんや卵巣がん、大腿骨の骨折などのリスクが低下します。
  2. 赤ちゃんは免疫的に長く保護されるだけでなく、将来的に糖尿病や心筋梗塞、肥満などの生活習慣病のリスクが減少し、より健康的な生活を送ることができます。
  3. 赤ちゃんが発熱などの症状を示しても母乳は受け入れてくれます。かつて点滴がなかった時代でも、母乳によって人類は生き延びてきたのです。

以上の理由から、母乳を途中で止める必要はありません。お母さんはお子さんとじっくり向き合い、母乳育児を続けてください。

お誕生日を迎えます

お子さんの1歳のお誕生日、おめでとうございます。一年間は長いようで短かったですね。

お子さんの成長について、以下に述べさせていただきます。

粗大運動(大きな動き):伝い歩きができるようになります。一歳2〜3ヶ月くらいから自分で歩き始めることもあります。伝い歩きができている場合は、問題ありません。

微細運動(手先の細かい動き):ピンセットつまみができるようになります。親指と人差し指の2本を使って小さなものをつまめるようになります。ごみや髪の毛などをつまんでみるかもしれません。

言葉:意味のある言葉は1歳半までに1つ以上話すようになるのが目安です。ただし、一歳ではまだ自分なりの喃語(むにゃむにゃとした言葉)や独り言を言っているだけでも大丈夫です。指差しも重要な反応です。

離乳食:3回食が目標とされていますが、あまり食べなくても焦る必要はありません。一歳半くらいまでに3回食になることを目指していれば十分です。

お子さんの成長は個人差がありますので、焦らずに自分のペースで進めてください。楽しくお子さんとの時間を過ごし、成長を見守っていきましょう

ポイント

母乳を続けているお母さんは、母乳を止める必要はありません。医学的に母乳を止めるべき時期は存在しません。

「もう止めましょう」と言う人(医療者も含めて)に対して、「なぜ1歳(2歳)で止める必要があるのですか?」と尋ねてみると、理由が明確に示されることは稀です。周りの言葉に惑わされず、赤ちゃんがまだ母乳を欲しがっているのであれば、母乳を継続して与えてあげてください。

母乳は虫歯の原因にはなりません。これは科学的にも証明されています。

また、赤ちゃんが夜におっぱいを求める回数が増えることもあります。夜間におっぱいを求める行動は、お母さんがどこにいるのか不安に感じ、安心を得るためのものです。この親子のつながりを大切にしましょう。

母乳を長く続けるほど、お母さんと赤ちゃんの両方にメリットがあります。

  1. お母さんは乳がんや卵巣がん、大腿骨の骨折などのリスクが低くなります。
  2. 赤ちゃんは将来的な生活習慣病のリスクが低くなり、より健康的な生活を送ることができます。
  3. 赤ちゃんが熱を出しても母乳は飲んでくれるので、母乳を続けていることは大変助かります。

世界保健機関(WHO)は、「完全母乳育児を6ヶ月まで続け、その後も離乳食と共に2歳まで、それ以上も続けることが望ましい」という声明を出しています。母乳の価値を理解している医療者は、母乳を続けることを奨めるべきです。

以上の理由から、母乳を途中で止める必要性はありません。お母さんはお子さんとしっかりと向き合い、母乳育児を継続してください。